120年前の記憶 – バロックの響き サラサーテの技巧 ストラディバリウスの名品が奏でる振動

パブロ デ サラサーテのSPレコード

無伴奏バイオリンのためのパルティータ 第三番 前奏曲 ... サラサーテ

当時、サラサーテが弾いていたバイオリンは、ストラディバリウスの1724年製 “le Sarasate ル サラサーテ”と1713年製 “Boissier-Sarasate ボワシエ-サラサーテ”の2挺。

この1724年製のストラディバリウスは1817年から1840年にかけてピコロ パガニーニも演奏したバイオリンで、サラサーテの遺言によりパリ音楽院に寄贈されました。

現在では”le Sarasate ル サラサーテ”の愛称で呼ばれます。

そして、もうひとつは1713年製のバイオリン “Boissier-Sarasate ボワシエ-サラサーテ”。

1821年にパリ音楽院の教授となり1833年にブリュッセル音楽院の院長も務めた音楽評論家のフランソワ=ジョセフ フェティスに寄れば、この “Boissier-Sarasate ボワシエ-サラサーテ”は、ストラディバリウスの中でも名品と呼ばれる僅か5挺のひとつになります。

深い金色の下地に濃い赤色が特徴的で、やはりサラサーテの遺言によりマドリード音楽院に寄贈されています。

何れも将来のバイオリン製作の参考になるように貴重な標本としての保存をサラサーテが希望し、サラサーテに所縁のある2つの音楽院に寄贈されとのことです。

無伴奏バイオリンのためのパルティータ 第三番 前奏曲 Partita for solo violin in E major, Preludio ... 蓄音機のレコードで

蓄音機レコードの録音品質が向上し、著名な音楽家がレコード録音に取り組み始めた1904年。

サラサーテは11月から12月の短い期間に数曲のバイオリン演奏を収録しています。

そのひとつが、1720年にバッハが作曲した無伴奏バイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調から前奏曲 Sei Solo a Violino senza Basso accompagnato; Partita for solo violin No.3 Preludio (BWV 1006a)。

バロック感に溢れるその響きを、サラサーテの技巧とサラサーテの名前を冠したストラディバリウスの音色で、当時を想像しながら感じてください。

経緯

  • 1685.3.31 ヨハン セバスチャン バッハがドイツ中部のアイゼナハで生まれる
    • 1720 バッハが無伴奏バイオリンのためのパルティータ 第1~6番を作曲
    • 1750.7.28 ヨハン セバスチャン バッハがドイツのライプツィヒで逝去
    • 1835.10.9 カミーユ サン=サーンスがパリで生まれる
  • 1844.3.10 パブロ デ サラサーテがスペイン北部バスク地方のパンプローナで生まれる
    • 1848 サン=サーンスがパリ音楽院に入学
    • 1853 サン=サーンス: 交響曲第一番を作曲
    • 1853-1857 サン=サーンス: パリのサン=メリ教会のオルガン奏者を務める
  • 1855.7 パリ音楽院に向かう途上でコレラに発症。母のジャビエラ アントニアJaviera Antoniaが合併症のためフランス南西部のバイヨンヌで逝去。
  • 1856 パリ音楽院に入学。パリ音楽院の理事テオドール ラサバッティと妻のアメリエが親代わりに支える
    • 1858 サン=サーンス: パリのマドレーヌ寺院のオルガン奏者を務める
    • 1858 サン=サーンス: バイオリン協奏曲第二番ハ長調 作品58を作曲。1879年に出版
    • 1863 サン=サーンス: 序奏とロンド カプリチオーソ イ短調 作品28を作曲。サラサーテに献呈
  • 1866 サラサーテがバイオリンの名工 ヴィヨームからストラディバリウス(1724年製)を購入 (現le Sarasate ル サラサーテ)
  • 1867.4.4 サラサーテが序奏とロンド カプリチオーソをシャンゼリゼで初演
  • 1870.4.4 ニューヨークツアーのためニューヨークに到着
  • 1870.4.20 アンリ コヴァルスキのコンサートで階段から転落し負傷。ストラディバリウス (1724年製)を破損。急遽、ヴィヨーム作のバイオリンで演奏。
    • 1871.12.5 テオドール ラサバッティが逝去
  • 1872.2.1 サラサーテの1724年製ストラディバリウスはヴィヨームがニコロ パガニーニから購入した品との鑑定証明書をヴィヨームに依頼
  • 1872.5 ニューヨークからパリに帰国
    • 1872.6.18 ヴィヨームがサラサーテの1724年製ストラディバリウスを修理
    • 1875.3.19 ジョン=バティスト ヴィヨームがパリで逝去
  • 1877.12-1881.10 スペイン舞曲集 (全4集)を作曲。
  • 1878 ツィゴイネルワイゼン作品20 (ジプシーのアリアAires gitanos)を作曲
    • 1880 サン=サーンス: バイオリン協奏曲第三番ロ短調作品61を作曲。サラサーテに献呈
  • 1881.1.2 サラサーテがバイオリン協奏曲第三番ロ短調をパリで初演
  • 1883カルメン幻想曲 (バイオリンと管弦楽のための幻想曲)を作曲
  • 1888.10.26 サラサーテが1713年製ストラディバリウス “Boissier ボワシエ”をガン&ベルナーデル商会から購入 (現Boissier-Sarasate ボワシエ-サラサーテ)
  • 1899 序奏とタランテラ 作品43 Introduction et Tarantelle Op.43を作曲し出版
  • 1904.11-1904.12.1 ツィゴイネルワイゼン Aires gitanos, ハバネラHabanera, タランテラTarantelle, ミラマールMiramar, バスク奇想曲Caprice basqueをパリで録音。無伴奏バイオリンのためのパルティータ 第3番から前奏曲 Prelude, Partita No. 3を録音。
  • 1908.9.20 パブロ デ サラサーテがフランス南西部のバスク地方のビアリッツで逝去
    • 1921.12.16 カミーユ サン=サーンスがアルジェで逝去

サラサーテのSPレコード ... 蓄音機でもっと

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