78年前の迫真 - オペラ "道化師" イタリア統一直前 シチリアの香り 道化の哀れ

ジュゼッペ ヴァルデンゴのSPレコード

道化師 ... レオンカヴァッロのオペラ

1892年にルッジェーロ レオンカヴァッロが作曲し、1892年5月21日にミラノで初めて公演したイタリア歌劇です。

時代背景は、1860年代のイタリア カラブリア地方。ブーツ型をしたイタリアの丁度つま先の部分で、シチリア島の文化も重なります。

イタリア王国として統一されたのが1861年。まだカラブリア語やシチリア語など多様な言語や方言が入り混じっていた時代です。

旅芸人の道化師が、演劇中に現実と演劇の見境が付かなくなってしまい、高ぶった感情を抑えきれずに自分を見失って奥さんを殺してしまいます。迫真の演技に盛り上がる観客。しかし実は、道化師の演技を逸脱して現実に起きた悲劇でした。

この歌劇の前説として登場するのが、ジュゼッペ ヴァルデンゴ演じるもう一人の醜い道化師 “トニオ”。彼もまた、道化師でありながら、愛憎と嫉妬に満ちた人間として、仮面の下に隠された道化の悲しみを歌い上げます。

その生の振動をゼンマイの音と共にお楽しみください。

オリジナルの和訳

よろしいかな よろしいかな
淑女に 紳士の みな皆様
失礼ながら 自己紹介
わたくしめ 前口上で ございます

このような 場面ですら
古めかしい 仮面にて
幾分かは しきたりで
送り出されたと いうわけです

こういうわけでは ございません
流す涙は にせものか
苦痛であろうが 信仰ですら
けして ご警戒 なされるな
代わりに 作家が 描くのは
人生の ほんの一場面
最大限に 照らし出し
芸術家が 人間なれば
その人間の ためにこそ
したためねば ならぬもの
全身全霊 かたむけて

記憶の巣窟 魂の奥深く
かつては 歌い
涙をしたため 嗚咽した
時間に せきたてられたのだ

苦々しい ことだろう
人類を 愛する者として
哀しい成果に 嫌悪して
苦痛と苦悩に ゆがめられ
怒りの叫びを 聴くだろう
そして皮肉な 笑いまで

そこの あなたがた
みすぼらしい 道化の衣装より
魂に注目して くれないか
われわれ 人間 肉と骨
見捨てられた 世界の中で
同じように 息をしているのだ

コンセプトは お伝えした
仕上げを ご覧じろ
さぁ 始めましょう 幕開けです

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