94年前の空虚 – “まるで私” 深い哀しみに くすんだ情景だけが慰めなのか
ポール ロブスンのSPレコード
まるで私 Seems lak to me – ハーレム ルネッサンスが生んだ歌
1922年、アフリカ系アメリカ人の作家ばかりを集めた詩集がハーコート ブレイス & カンパニーから発刊されました。
その詩集は ”The Book of American Negro Poetry”。ニューヨークのハーレムに起きたアフリカ系アメリカ人の芸術文化運動、ハーレム ルネッサンスの一端です。
ジェームズ ウェルドン ジョンソンは詩人として中心にいました。そして、“Sence you went away 君がいなくなってから”は、その詩集の一遍です。
愛するひとを失った悲しみを繊細な感性と巧みな構成で詠んだ詩。哀しみが深ければ深いほど、輝きを失った景色だけが心の慰めなのかも知れません。
加えて、当時のアフリカ系アメリカ人に特有な訛った英語が豊かな情感を彩ります。
曲のタイトルは実際の原詩とは違い、敢えて選んだ印象的なフレーズ。“Seems lak to me まるで私”。
歌うのはポール ロブスン。1928年、英国での録音です。オリジナルの和訳を添えて、ゼンマイの音から当時の生の振動を感じてください。
まるで私 Seems lak to me ... 蓄音機のレコードで
オリジナル和訳
まるで私 星がそれほど 輝かないのは まるで私 太陽が 眩しくないのは まるで私 何もうまく いかないのは 君がいなく なってから まるで私 空が半分 青くないのは まるで私 何もかも 君が必要なのは まるで私 何をしたらいいか 分からないのは 君がいなく なってから まるで私 何をしても だめなのは まるで私 一日が倍に長く 感じるのは まるで私 野鳥が歌を 忘れたのは 君がいなく なってから まるで私 ためいきばかり ついているのは まるで私 いつも喉が 乾くのは まるで私 まぶたから涙が 途切れないのは 君がいなく なってから
歌詞の朗読 by ポポー "そらいろのたね"
経緯
- 1869.1.27 ウィル マリオン クックが米国 ワシントンDCで生まれる
- 1871.6.17 ジェームズ ウェルドン ジョンソンが米国 ジャクソンビルで生まれる
- 1897 ジョンソン: アフリカ系アメリカ人として初の司法試験に合格
- 1898.4.9 ポール ロブスンが米国 プリンストンで生まれる
- 1922 ジョンソン: 詩集 ”The Book of American Negro Poetry”で、“Sence you went away 君がいなくなってから”を発表
- 1923 ロブスン: 米国コロンビア大学のロースクールを卒業
- 1925 ジョンソン: 詩集 ”The Book of American Negro Spirituals”を編纂
- 1928 ロブスン: “Seems lak to me まるで私”を英国で録音 (裏面 “Down de lovers’ lane 恋人たちの車線”)
- 1938.6.26 ジェームズ ウェルドン ジョンソンが米国 ウィスカセットで逝去
- 1944.7.19 ウィル マリオン クックがニューヨークで逝去
- 1949.6.20 ロブスン: パリ平和会議の演説 (反差別と反戦)によりブラックリスト入り
- 1949.8.27 ロブスン: コンサート中止
- 1950 ロブスン: NBCへの出演差し止め。パスポート発行の拒否
- 1952 ロブスン: ソ連から国際スターリン賞を受賞
- 1952.5 ロブスン: 米国とカナダの国境で平和コンサート。ウェールズに向けたラジオコンサート
- 1976.1.23 ポール ロブスンが米国 フィラデルフィアで逝去


