121年前の興奮と高揚 - オペラ ゲルマニアから "学生諸君、聴き給え" この歴史的な瞬間

エンリコ カルーソのSPレコード

フランケッティのオペラ "ゲルマニア" - 学生諸君、聴き給え

経緯

  • 1860.9.18 アルベルト フランケッティ: イタリアのトリノで生まれる
  • 1867.3.25 アルツーロ トスカニーニ: イタリアのパルマで生まれる
  • 1873.2.25 エンリコ カルーソ: ナポリで生まれる
    • 1886.6.30 トスカニーニ: リオデジャネイロで指揮者デビュー
    • 1886.11.4 トスカニーニ: トリノのカリニャーノ劇場で指揮者プロデビュー
  • 1902.3.11 ミラノのスカラ座で初演 (作曲: フランケッティ, 指揮: トスカニーニ, テナー: カルーソ)
  • 1902.4.11 カルーソ: ゲルマニアから “学生諸君、聴き給え” (フェデリコ レーベ役)を録音
    • 1903.4トスカニーニ: 聴衆や運営との不和でスカラ座芸術監督を辞任 (1906年に復帰後も繰り返す)
  • 1914.7.28-1918.11.11 第一次世界大戦
    • 1921.8.2 カルーソ: ナポリで逝去
  • 1939.9.1 ドイツがポーランド侵攻。第二次世界大戦の始まり
    • 1942.8.4 フランケッティ: イタリアのビアレッジョで逝去
  • 1945.5 ドイツが降伏
    • 1957.1.16トスカニーニ: ニューヨークで逝去

説明

オペラ "ゲルマニア"はアルベルト フランケッティが作曲し、1902年3月11日にミラノのスカラ座で初めて公演されました。

初演から主役のフェデリコ レーベ役を務めたのが、イタリアの伝説的なテナー歌手 エンリコ カルーソ。

オペラ "ゲルマニア"の物語は、ナポレオンが率いるフランス軍の占領下に、ドイツの復権のため抵抗した学生たちの雄姿と悲劇を描いています。

イタリア ミラノのスカラ座で長年に渡り人気を博しましたが、第二次世界大戦の勃発と終戦と共に、そのマイナスイメージから上演される機会は失われ、忘れられたフランケッティの名作とも称されます。

1902年の初演からちょうど1か月後の1902年4月11日、エンリコ カルーソは、オペラ "ゲルマニア Germania"から "学生諸君、聴き給え Studenti udite"を録音します。

フェデリコが学生たちに向かって、"ゲルマニア Germania"の志を持って共に戦おうと演説する場面です。Prezenzione di Frederico (Federico)

この1902年4月11日の録音は、エミール ベルリナーが発明した円盤式レコードをグラモフォン社が世界で初めて発売するための記念すべきものでした。

歴史的な録音に臨むカルーソの興奮が、学生たちに訴えかけるフェデリコに乗り移ったかのような高揚が、直接に刻み込まれた振動として響き渡ります。

その生の振動をゼンマイの音から感じ取ってください。

ゲルマニア - 学生諸君、聴き給え Studenti udite ... 蓄音機のレコードで

あらすじ

ナポレオンに占領されたプロイセン (現ドイツ)で抵抗した学生たちの物語

プロローグ

1806年のニュルンベルク。

ナポレオンの占領に反抗する作家ジョバンニ パルムを匿っている学生たち。学生リーダーのカルロ ボルムスは学生たちを仲間に誘うが響かない。

過激的な思想を持つフェデリコ レーベはボルムスの友人だった。しかし、ボルムスは友人の恋人リッケに言い寄り、関係を持ってしまう。

何も知らないフェデリコは “学生諸君、聴き給え”を熱狂的に歌い、学生たちを鼓舞する。そこへ踏み込んできたフランス警察。作家のパルムは連行される。

オリジナルの和訳

聴き給え 学生諸君 古き新しき友よ
同志の涙をぬぐい 自分の涙もぬぐえ
永遠こそ英雄 反撃への志

同志は英雄として散った 輝かしく
激しい戦いだった チュービンゲンは
同志は語った のろまな奴ら その攻撃を追い払い
栄光の死は 学友のもとに

確執など 消え去った
戦争では 何の区別もない
学校も 理念も 教えも 叡智も
唯一 ゲルマニアがあるだけだ
ただ一つの大地 言葉 魂
そして ただ一つの国

死者を弔う 悲しい墓標
理念を生み出す 輝かしいゆりかご
勝利をつかむか 無となるか
母国は そこに誕生する
高い理想で 結束しよう 
そして物語を 作り出すのだ

このレコードで唄われている歌詞

聴き給え 学生諸君 古き新しき友よ
同志の涙をぬぐい 自分の涙もぬぐえ
永遠こそ英雄 反撃への志

死者を弔う 悲しい墓標
理念を生み出す 輝かしいゆりかご
勝利をつかむか 無となるか
母国は そこに誕生する
高い理想で 結束しよう 
そして物語を 作り出すのだ
第一幕

学生たちは黒い森に逃げるが、ボルムスの死が告げられる。ホッと安堵するリッケ。

程なくフェデリコとリッケは結婚し、デュオを歌う。

ところがそこに現れたボルムス。何も知らずに友人の無事を喜ぶフェデリコ。沈むリッケ。

状況を知ったボルムスは旅立ってしまう。リッケは悲しみ、後悔のアリアを歌ってフェデリコの元を去る。

激情したフェデリコはボルムスへの復讐を誓って歌う。

第二幕

数年が経ったケーニヒスベルク (現ロシアのカリーニングラード)。

ナポレオンに反抗するルイーゼ女王を支持する学生集団。“ゲルマニア”のスローガンの元に団結する。

そこへボルムスへの怒りに満ちたフェデリコが現れ、ボルムスに決闘を挑む。

ボルムスは、フェデリコに殺されることで怒りを鎮める覚悟。

その直前、女王が現れ、権力からの脱却とドイツの自由を願う。その歌に心をうたれた二人は心をひとつにしてライプツィヒの戦い (ナポレオンに勝利した最後の戦い1813.10.16-10.19)へ向かう。

エピローグ

戦場跡。

リッケは重症を負ったフェデリコを見つける。フェデリコは死の間際に二人を許し、ボルムスを探すことを願う。しかしボルムスも戦死。

リッケはフェデリコとボルムスの二人の亡骸を抱いたまま、結婚式の続きとなる夜を過ごす。

エンリコ カルーソのSPレコード ... 蓄音機でもっと

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