117年前の恋慕 - "もうミミは帰らない" プッチーニ "ラ ボエーム" から切ない気持ち

エンリコ カルーソ & アントニオ スコッティのSPレコード

プッチーニのオペラ "ラ ボエーム" - もうミミは帰らない

詩人のロドルフォと画家のマルチェッロ。演じるのはエンリコ カルーソとアントニオ スコッティ。共にイタリアのナポリで生まれ、多くの共演を果たした大親友でした。

スコッティの本拠地ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でカルーソと初めて共演したのが1903年。その4年後の1907年3月17日に、ニューヨークでプッチーニのオペラ “ラ ボエーム”の第四幕から “もうミミは帰らない Ah Mimi, tu piu”を二人で録音します。

昔の恋人 ムゼッタのことが忘れられないマルチェッロ。そして、重い病気のミミを気遣うロドルフォと、そうとは知らずに気持ちがすれ違うミミ。ついにミミはロドルフォに別れを告げ、昔の部屋に帰ります。

それから数か月の後。ミミとムゼッタへの思いを忘れることができないロドルフォとマルチェッロは、お互いの愛しい人への切ない思いを歌う場面です。

果たしてロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタの愛の行方は…

オリジナルの和訳を添えて。当時の生の振動をゼンマイの音から感じてください。

もうミミは帰らない O Mimì tu più ... 蓄音機のレコードで

オリジナルの和訳

ロドルフォ
あぁミミ もう きみは戻らない
あぁ 美しい日々
小さな手 かぐわしい髪の毛
雪のような うなじ

あぁミミ 若き日々は 儚く
このナイトキャップは きみ
軽やかで 枕の下に 身を潜め
全てを 知っている
ぼくらの 幸せの日々を

心に届け 失われた心に
愛は 死に果てたのだと
マルチェッロ
思い出せない どうやって
絵筆を運んで いたのだろう
絵具を混ぜて いたのだろう
思い通りに ならなくて

描きたいのは
空に 大地に 冬や春
描いてしまう
ふたつの 黒い瞳に
唇ひとつ ふっくらと

現われ出でる それはムゼッタ
その顔立ち
あまねく癖に あまねく偽り

その間にも 陽気に過ごす ムゼッタを
呼び続ける この 気弱な心
待ち望む 臆病な この心

オリジナルの和訳 ... 実際の二重唱

ロドルフォ
あぁミミ もう きみは戻らない
あぁ 美しい日々
小さな手 かぐわしい髪の毛
マルチェッロ
思い出せない どうやって
ロドルフォ
雪のような うなじ
あぁミミ 若き日々は 儚く
マルチェッロ
絵筆を運んで いたのだろう
絵具を混ぜて いたのだろう
思い通りに ならなくて

描きたいのは
空に 大地に 冬や春
描いてしまう
ふたつの 黒い瞳に
唇ひとつ ふっくらと

現われ出でる それはムゼッタ
その顔立ち
ロドルフォ ... マルチェッロとの二重唱
このナイトキャップは きみ
軽やかで 枕の下に 身を潜め
全てを 知っている
ぼくらの 幸せの日々を

心に届け 失われた心に
愛は 死に果てたのだと
マルチェッロ ... ロドルフォとの二重唱
現われ出でる それはムゼッタ
あまねく癖に あまねく偽り

その間にも 陽気に過ごす ムゼッタを
呼び続ける この 気弱な心
待ち望む 臆病な この心

経緯

アントニオ スコッティ
  • 1866.1.25 アントニオ スコッティがイタリアのナポリで生まれる
    • 1866.10.9 マルタの王立歌劇場が開演
  • 1873.2.25 エンリコ カルーソがナポリで生まれる
    • 1873.5.25 マルタの王立歌劇場が火事で焼失
    • 1877.10.11 マルタの王立歌劇場が再建されて開演
  • 1889 スコッティ: マルタの王立歌劇場でデビュー
  • 1898 スコッティミ: ラノのスカラ座でデビュー
  • 1899.12.27 スコッティ: ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でデビュー (ドン ジョバンニ役)
  • 1901.2.4 スコッティメトロポリタン歌劇場でプッチーニのトスカの米国初演に出演 (スカルピア役)
  • 1903 メトロポリ: タン歌劇場でエンリコ カルーソと共演 (オペラ “リゴレット”)
  • 1907.3.17 プッチーニのオペラ (ラ ボエームのマルチェッロ役 “もうミミは帰らない Ah Mimi, tu piu”)を親友のエンリコ カルーソと共にニューヨークで録音
  • 1910.1.12 スコッティ: メトロポリタン歌劇場の主催で、記念すべき初めてのオペラのラジオ放送 (トスカ 第二幕と第三幕)
    • 1910.1.13 カルーソ: メトロポリタン歌劇場の主催で第2回目のオペラのラジオ放送 (道化師 Pagliacci)
    • 1921.8.2 エンリコ カルーソがナポリで逝去
  • 1933.1.20 スコッティ: メトロポリタン歌劇場で最終公演 (フランコ レオニのオペラ L’oracolo)
  • 1936.2.26 アントニオ スコッティがイタリアのナポリで逝去
エンリコ カルーソ
  • 1858.12.22 ジャコモ プッチーニ: 伊トスカーナ地方のルッカで生まれる
  • 1873.2.25 エンリコ カルーソ: ナポリで生まれる
  • 1866.7.23 フランチェスコ チレア: 伊パルミで生まれる
  • 1895.3.15 カルーソ: ナポリのヌオボ劇場でデビュー
  • 1897.11.27 カルーソ: ミラノのリリコ劇場でチレアのオペラ “アルルの女”を初演。フェデリコ役。
    • 1900.1.14. プッチーニ: ローマのコンスタンツィ劇場で “トスカ”の初演 (テノール: エミーリオ デ マルキ)
  • 1900.10.23 カルーソ: 伊トレビゾでプッチーニのオペラ “トスカ”のカバラドッシ役。初演したマルキに優る評価。
  • 1902.4.11 エンリコ カルーソ: オペラ “トスカ”, ”ゲルマニア”, ”ラ ジョコンダ”, “メフィストフェーレ”を録音
  • 1902.11.30 エンリコ カルーソ: オペラ “道化師”, “カバレリア ルスティカーナ”, “ラ ジョコンダ”, “君なんかもう愛していない”, “フェドーラ”, “メフィストフェーレ”を録音
  • 1902.12.1 エンリコ カルーソ: オペラ “我が歌”を録音
  • 1903 カルーソ: ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でデビュー
  • 1907.3.17 プッチーニのオペラ (ラ ボエームのロドルフォ役 “もうミミは帰らない Ah Mimi, tu piu”)をアントニオ スコッティと共にニューヨークで録音
  • 1909.11.06プッチーニのオペラ (トスカのカバラドッシ役 “星は光りぬ” “妙なる調和”)を録音
    • 1910.1.12 スコッティ: メトロポリタン歌劇場の主催で、記念すべき初めてのオペラのラジオ放送 (トスカ 第二幕と第三幕)
  • 1910.1.13 カルーソ: メトロポリタン歌劇場の主催で第2回目のオペラのラジオ放送 (道化師 Pagliacci)
  • 1918.8.20 カルーソ: ドロシー ベンジャミンと結婚
  • 1920.10.21 カルーソ: ブルックリン アカデミー オブ ミュージックで公演中に喀血し公演中止
  • 1921.8.2 エンリコ カルーソがナポリで逝去
    • 1924.11.29 ジャコモ プッチーニ: ベルギーで逝去
    • 1926 プッチーニ: “トゥーランドット”の初演 (テノール: ミゲル フレータ)

エンリコ カルーソのSPレコード ... 蓄音機でもっと

オペラ "ラ ボエーム" ... 蓄音機でもっと

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